「口腔機能維持・回復のための集学的研究開発拠点の形成」
(私立大学戦略的研究基盤形成事業)







研究目的

 疾患や加齢によって低下した摂食、発声、呼吸などの口腔機能の回復・維持は、心身の健康と QOL の向上を図るために重要な課題であり、その方策として次世代を見据えた口腔の衛生管理、疾患治療およびリハビリテーションシステムの開発が極めて重要である。一度崩壊した口腔機能を元通りに修復するのは、最新の医療を以てしても困難なことが多い。そこで我々は、相互に関連する基礎と臨床の研究者が連携することによって、口腔組織の機能とその破綻について解明し、次世代を見据えた新たな臨床技術の開発を目指す。すなわち、病理学研究者は加齢に伴う唾液腺萎縮の変化を解析し、それが口腔疾患や補綴装置の汚染に及す影響について歯科補綴学研究者とともに解明する。細菌感染による口腔環境の増悪については、微生物学研究者が粘膜免疫機能について解析し、 その結果に基づき、口腔衛生研究者が口腔ケアを検討する。また、歯科薬理学と医学部腫瘍内科学の研究者の連携により、顎骨壊死など薬物誘導性の口腔疾患の発症機序を解明する。生理学研究者は、神経による咀嚼制御機序を解析し、その結果に基づいて口腔リハビリテーション研究者が咀嚼・嚥下機能検査法の開発を試みる。生化学と血液内科学の研究者は、口腔粘膜炎と全身性疾患との関係解明に臨む。解剖学研究者は、加齢にともなう顎口腔形態と歯の喪失について組織学的解析を実施し、歯科矯正学研究者とともに顎・口腔の応力とひずみの変化について検討する。このように、基礎と臨床の連携により集学的な研究を実施することで、口腔機能の維持・崩壊機序を解明し、 新たな医療技術を開発する。

研究代表者

美島 健二(昭和大学口腔ケアセンター)

研究スタッフ

美島 健二(口腔病理学・教授)
 「口腔環境に変化を与える要因としての唾液腺加齢システムの解析」
中村 雅典(口腔解剖学・教授)
 「加齢と歯の喪失に伴う口腔粘膜のバリア構造の変化と口腔環境の関係解明」
桑田 啓貴(口腔微生物・教授)
 「口腔内と上気道部の粘膜バリアによ る口腔環境の恒常性維持機構の解明」
井上 富雄(口腔生理学・教授)
 「口腔環境の恒常性を司る下顎・舌・ 口唇・頬の協調機構の解明」
上條 竜太郎(口腔生化学・教授)
 「口腔粘膜炎に伴う口腔環境恒常性 破綻と全身性疾患の相互作用解明」
高見 正道(歯科薬理学・教授)
 「硬組織代謝調節剤が口腔環境の恒 常性と破綻に及ぼす影響の解析」
弘中 祥司(口腔衛生・教授)
 「効果的機能回復のための口腔ケアのギアチェンジ条件の最適化」
佐々木 康綱(腫瘍内科学・教授)
 「骨吸収抑制剤誘導性顎骨壊死にお ける抜歯以外のリスクファクターの同定」
中牧 剛(血液内科学・教授)
 「造血幹細胞移植時の口腔機能障害 に対して行う口腔ケアの有用性の解析」
馬場 一美(歯科補綴学・教授)
 「口腔機能と健康を維持するための" 汚れない"補綴装置の開発」
槇 宏太郎(歯科矯正学・教授)
 「高齢者の口腔機能回復のための超微弱力矯正システムの応用」
高橋 浩二(口腔リハビリテーション学・教授)
 「口腔機能回復のための新規嚥下機能検査法の開発」

研究成果報告

 研究成果報告書.pdf